2016年7月26日午前2時ごろ、神奈川県相模原市『やまゆり園』でとても悲しい事件が起こりました。
容疑者曰く、「障害者なんて、生きる意味なくないですか」と主張し、約50分の間に45人を次々と襲ったそうです。
ニュースでこの事件を知って、あまりの衝撃に呆然とし、涙が止まりませんでした。
また、この容疑者が衆院議長宛てに書いた手紙の内容を見て、恐ろしい思想自体に恐怖しました。
詳しい内容は、ニュースで報道されているので、ここでは説明しませんが、この事件を引き起こした『考え方』について、意見を言わせていただきたいです。
まずこの事件は、殺人事件です。
『考え方』はいったん置いておいて、なんの罪もない人間を、他者が殺していいわけがありません。
そんなことは子供でも知っている、当たり前のことです。
ここだけは、どんな反論も許されない、社会常識と言うか当たり前のルールです。
ですが、「障害者なんて、生きる意味なくないですか?」
この『考え方』ついては、ビックリするような書き込みがネット上に多く、本当に悲しくなりました。
事件直後に、『障害者を駆除してくれてありがとう』、『あなたは英雄です』、なんてツイッターで発言している人間もいました。
普通の思考からすれば、信じられない発言ですが、ネット上ではこういうことを平気で言う人間も存在します。
また少し前にマタニティーマークの件でも、信じられないことを言う人間が多数いることで、ビックリさせられました。
『キーホルダーをしてると故意に蹴られたり腹を押されたりする』、電車内で老人が妊婦さんに『妊婦が乗ってくるな!』と言ったなどの事例があるそうです。
今回は被害者の方が『障害者』ということで、単なる殺人事件ではなく、世の中の話の論点が『障害者について』に移行しそうで、正直怖くなっています。
「障害者なんて、生きる意味なくないですか?」
はっきり言います。
他人が勝手に決めつけていいことではありません。
障害を持って生まれた子のご両親とご家族が、子供が成長していく過程で、一緒に降り沿って見つけていくことだと思います。
中には、重い障害があってご家族の方が、大変苦労しているご家庭もあります。
これは事実ですし、はた目から見れば『気の毒』と感じたりするかもしれません。
しかし、それは各ご家庭内での話で、大変でも一生懸命幸せに生きている家庭もあれば、疲れ切ってしまい不幸だと感じている家庭など、様々だと思います。
でもそれって障害者の家庭に限った話ではなく、健常者の家庭でも同じことだと思います。
なのに一方的に『障害者の家庭は不幸だ』なんて、決めつけていい筈がありません。
またその他にも、障害者手当や年金などを引き合いに出し、税金が勿体ないと言う意見や書き込みも見ました。
こういう意見を言う方って、自分が当事者になる可能性を全く想像していないんでしょうね。
いつか自分が親になり、子供を持った時に重度の障害児が生まれてくるケースや、自分が交通事故にあって半身不随になった場合など、そういった状況にもし自分がなった場合、世の中から『税金が勿体ない』って言われたらどうするんでしょうかね?
やっぱり、どこか他人事のように簡単に言えるんでしょうか。
日本の福祉は先進国なのに、北欧に比べ進んでいるとは言えませんが、悪い訳ではありません。
お互いに支え合い、全ての国民が安心して暮らせるための、社会保証制度があるからです。
社会保証制度にはいろいろあって、「社会保険」「社会福祉」「公的扶助」「保健医療・公衆衛生」があって、障害者手当などはその中の1部分です。
その1部分を名指しで『税金が勿体ない』って酷いですよね。
新国立競技場の違約金の方が、、、ですよね。
なんで長々とこんな話をするかと言うと、
子供たちの障害者への認識が、心配になったからです。
大人たちは、障害者について良識的な感覚を持ち合わせていると思うのですが、
(そう信じたい)
子供たちは『なんで?』って感覚の子供が多い気がします。
それはある意味タブーと言いますか、触れてはいけないみたいな感覚が世間にあって、大人たち(学校や社会)がきちんと説明していないからだと思います。
偏見を解決するには、理解をすることが1番の解決法だと思っています。
理解がないと、人間は偏った見方をしてしまいます。
今回の容疑者は26歳で、比較的若い世代です。
『障害者なんていなくなればいい』って考え方の若い世代が今後増えてきたとしたら、そんな国って怖くないですか?
それを防止するには、まず大人がちゃんと理解して、それを子供たちにうまく伝え、偏見をなくすようにしなければならないと思います。
子供に「障害者なんて、生きる意味なくないですか?」と聞かれて、あなたはうまく理由を説明出来ますか?
一緒になって、『うーん、なんでだろうねー?』ってなっていませんか?
衆院議長宛ての手紙には「障害者は不幸を作ることしかできません」とも書いてありましたが、少なくとも、うちの家庭はそうではありません。
地域の方や、友人や、学校や、様々な方に理解してもらって、うちの唯真(6歳の自閉症です)は幸せに暮らしています。
もちろん大変なことも、たくさんありますが、毎日楽しく、小学校に通っています。
唯真にたくさんの笑顔と幸せをもらってます。
幸せだとか、不幸だとかに、障害のあるなしは絶対に関係ありません。
今後二度とこのような悲しい事件が起こらないことを、切に願います。また、世の中から障害者への偏見や差別が無くなって、お互いに尊重しあえる社会に向かっていって欲しいです。
最後に、今回犠牲になられた方々や、ご家族の皆さんへ、心から哀悼の意を表します。